コッツウォルズの亜麻畑

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2021年12月28日火曜日

持続可能なガーデニング

 

ガーデナーズワールド誌の12月号は真っ赤なドアに掛けられたクリスマスのリースの写真が表紙で、クリスマス気分を盛り上げるデザインです. 




12月号で特に気になった記事は、

Small steps to big changes (小さなことから大きな変化へ)

と題する、園芸番組の総合司会者のモンティードン氏の記事です。


副題は、『持続可能なガーデニングは、どんなに小さな区画でも、積み重ねれば大きな進歩につながります。 モンティは、私たちの足跡をより良くするためにできる、いくつかの重要な変化について概説します』となっています。
さらに、ページの右上には、『気候変動は人類が直面する最大の課題である』と書かれています。



内容を簡単にまとめて紹介します。

『14年前、この雑誌のために、庭の持続可能性について記事を書きましたが、その後も残念ながら状況は大きく変わっていません。


石油は依然として全体の支配的な問題である・・ ガーデンセンターで私たちが買う植物は車で配送される、暖房して育てられている、ビニールポットに入れてプラスチックの名札をつけて売られる、といった具合で、私たちのガーデンは原油の湖の上に作られています。


ガソリンエンジンから静かで性能のよいバッテリー駆動へと、園芸用の器械が変わってきたのはよい変化である・・ 生垣の剪定器械、芝刈り機、チェーソーなど


ここ数年で特に野生生物の保護が注目されている・・ より持続可能なガーデニングの実践は野生生物の利益になるが、それは副産物です。


持続可能な庭園の主目的は・・ 大量のカーボンの使用を減らし、カーボンの排出を減らし、水を有効に活用し、可能な限り自足自給可能な庭にすることです。


その最終目的は十分な食料ということではない・・ 狭いながらもできるだけ、果物や野菜、ハーブなどを育て、マルチングや植物の培養土の材料や肥料を自前で作るといったことです。貸農園をもっと増やして庭を持たない人たちにも利用できるようにするのも大いに役立ちます。


水の管理は自給自足の一部・・ 欧米の人々は皆、水道の蛇口から無限に水が供給される環境で育ってきたが、近年は洪水と干ばつが交互に頻発しています。水の管理は水の吸収のネットワークの問題でもあり、庭で水が吸収されない舗装面は少ない方がよいし、湿地の植物、グラス類、樹木など水をよく吸収する植物を増やすのも役に立ちます。家の前の庭が駐車場のために舗装されるのは、持続可能性とは相いれないことです。車の所有を減らしたり、生きた駐車場に変えていくべきでしょう。


減らすとは増やすこと・・ 消費量を減らすということは、機械の使用量を減らすということだけでなく、植物の購入量を減らすということでもあります。園芸業界はこのことに怒るかもしれませんが、短期的な装飾のために何百万本もの植物を生産し販売することが問題の一部であることは、不都合な真実です。植物の消費量を減らすには、栽培量を減らすのではなく、自分たちで繁殖させた植物をより多く栽培すればよいのです。種子を採取し、挿し木をし、株分けする。 余分な植物を隣人や友人と交換する。これは、植物を買う楽しみを諦めるということではなく、ただ買う量を減らすということです。


ピートモスは持続可能ではない・・ 言うまでもなく、庭にピートモスを使うべきではありません。ピートモスの原材料の泥炭の採取は環境破壊行為です。泥炭の採取は地球温暖化の原因となります。庭に泥炭を使う理由は決してありません。 


農薬、除草剤、殺菌剤、殺虫剤を使ってはいけない・・ 言わずもがなのことですが、何度も繰り返し言う必要があるのではないかと思っています。これらの製品を使用することは、失敗を認めることであり、悪いガーデニングであることを認めることなのです。優れた庭園はすべて、自然に逆らわず、自然と共存しているのです。持続可能な庭とは、捕食者と被食者のバランスを保ちながら、いわゆる「害虫」を自らコントロールする庭のことです。


私たちがやってはいけないことは、ここまでです。私たち全員にとっての救いは、意味のある持続可能性とは、罰せられるものではなく、可能性と喜びに満ちているものだということです。それは、この美しい世界を持続させるために、私たちが自分の家の裏庭で創造的かつ生産的にできることに基づいているのです。』



なかなか耳の痛いことや、むずかしいことも書かれていますが、ガーデニングでも持続可能性や地球環境への配慮が重要になってくる気がします。一人一人のごく小さな取り組みでも、何億人という規模になれば、とても大きな変化を起こせるのは確かでしょう。我が家の庭でもできることから始めたいと思います。



2021年11月19日金曜日

読者の庭コンテスト2021結果発表

 

ガーデナーズワールド誌が開催したガーデンズ・オブ・ザ・イヤー・コンペティション2021の結果が誌上で発表されました。そして、次号では優秀賞の庭、次々号では読者が選んだ「People's choice」の発表がある予定です。(読者による投票は現在進行中です)




最優秀に選ばれたのはナディン・ミッチュナスさんの貸農園の庭です。

彼女はオックスフォードシャーの日当たりの良い貸農園(アロットメント)に、花が咲き乱れ、野生動物が賑わうパラダイスを作りだしました。2010年に雑草の生えた1区画からスタートした彼女は、何年もかけて3つの区画をたった一人で数百種類の観賞用植物の美しいコレクションに変え、豊富な果物や野菜と一緒に育ててきました。ドイツ出身の Nadine さんは、花粉媒介者の生態学者としての仕事を通じて、植物や自然界に対する好奇心と、ガーデニングに対するオープンなアプローチを身につけ、これらすべての点で審査員は、彼女のユニークな貸農園の庭に魅了されたのです。


庭づくりの最初は次のようなものだったそうです。

『最初の区画を借りるのにも1年半かかり、借りたときは真夏でした。敷地内の草は胸の高さで、あとは雑草でしたが、それでも「やったー!」と思いました。最初は道具もなく、ハサミで草を刈っていたんですよ。ハサミを持ってひざまづいているだけで、こんなにも作業が進むのかと感心されました。その後、貸農園のおじさんたちが草刈り機を持って手伝いに来てくれました。その時におじさんたちから「はたして本気でやっているのかと思っていたが、本当にやっているんだな」と言われました。』


その後は、

『花を植えている区画では作業は少なくて、いくつかの植物を切り戻し、冬の終わりごろに大掛かりに切り戻しをするのが主な作業で、肥料や水やりはほとんどしていません。一方、野菜は春に種から育てているので、たくさんの水やりが必要で花よりも手がかかります。

数年前に、ナチュラルな植栽デザインや新多年草運動のことを知り、とても気に入ってそれに関する本をたくさん読みました。そして育てやすい何種類かのグラスを育て始めました。』


彼女の庭はナチュラルガーデンで、フルーツや野菜も育てています。野生生物(ワイルドライフ)たちにとっても住みやすい庭です。

ワイルドライフについても彼女は次のように述べています。

『私は、ここに多くの野生動物を招き入れたことを誇りに思っています。私が楽しめるだけでなく、野生動物にも多くの恩恵を与えることができるエリアです。アブラムシがいても気にしません。この方法でガーデニングをするには、忍耐と耐性が必要です。アブラムシを全部殺してしまうと、テントウムシが来なくなってしまいますからね。そのくらいのバランスが取れていれば、大きな問題はありません。私はアブラムシで植物を失ったことはありません。私は、攻撃されても大丈夫なように、回復力のある植物を育てています。ここではすべてが調和しています。ただ、少しの時間と、アブラムシなどを見ても手を出さず、パニックにならないことが必要なのです。ハチやチョウ、トンボなどの無数の昆虫、カエルやイモリ、鳥、ハリネズミ、キツネなど、訪れる大小の動物を観察するのが大好きです。私は野生動物用のカメラを持っていて、他の方法では見ることのできない夜行性の大きな動物を観察するのに使っています。』


審査員のアラン・ティッチマーシュ氏は、『これは本当に良いガーデニングだと思う。どの植物も素晴らしく、とてもよく手入れされている。』とコメントし、

審査員のディアムイド・ゲイビン氏は、『彼女は本当にここにパラダイスを作っている。しかも、従来のデザインルールには全く縛られていない。』とコメントしています。






合わせて625平方メートルの栽培スペースがあるので、ナディンさんのすべての区画のプランを紹介することはできませんでした。下の写真はナディンさんの最初の区画で、彼女がいかに機能的で美しい空間をデザインしているかがわかります。




左下の写真は庭を作り始める前の写真です

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庭のスタイルはさまざまで、フォーマルガーデン(整形式庭園)のように整然としている庭があれば、メドウガーデンのように野草が咲く草原のような庭もあります。ナディンさんの庭が最優秀賞を獲得するというのは、生物多様性を重視してさまざまな野生生物が住みやすいナチュラリスティックな庭が現代の一つの方向性であることを示しているのでしょう。


2021年3月20日土曜日

今年も人気園芸番組の放送が始まりました

 

変異ウイルスでロックダウンがつづいたイギリスでしたが、今年もBBCの園芸番組のガーデナーズワールドが昨日から始まりました。いつものように司会者のモンティー・ドン氏の自邸の庭ロングメドウの様子からです。イギリスで蔓延しているセイヨウツゲ(ボックス)の病気が彼の庭でも広がって、彼の庭のジュエルガーデンやコテージガーデンでは庭のボックスの低い生け垣を取り払って様子が随分変わっています。

モンティは必須の剪定をはじめ、多年草の植え替えや株分け、唐辛子の種まき、今年の野菜の栽培などを行っています。

昨年の秋、ジョー・スウィフトさんはスウォンジーを訪れ、スー・ケントさんのアロットメントで野菜を栽培するという新しい計画を知りました。ノッティンガムシャー州のクランバー・パークでは、100種類以上のルバーブの全国コレクションを管理している情熱的なガーデナーとの出会いがあり、リーズでは、日陰の裏庭をコンテナと工夫を凝らしてどのように変えたかを紹介しています。

また、ノーフォーク州のブレッシンガム・ガーデンでは、キャロル・クラインが冬に輝く植物のハイライトを紹介し、その後、視聴者から寄せられた映像を紹介します。






春が来て、これから一年で一番美しい季節を迎えます。ガーデニングで最もワクワクする季節ですね。コロナ禍でもガーデニングは心身の健康のためにとても役立つことを実感するこの頃です。