コッツウォルズの亜麻畑

コッツウォルズの亜麻畑

2016年10月25日火曜日

新刊本の紹介



ガーデニングに関する書籍は毎年たくさん出版されています。ガーデンの設計に関する本、植物に関する本、オーガニックに関する本、病害虫に関する本など多岐にわたります。

Garden Illustrated誌は毎号、英語の新刊本の紹介を掲載しています。その多くはイギリスやアメリカでの出版です。ガーデニングの本は美しい写真や挿絵がたくさん載っているものが多くて、見るだけでも楽しめます。

今月号のGarden Illustrated誌が紹介している本を今回は紹介します。


①New Small Garden (新しい小さな庭) 著者 Noel Kingsbury



最新のテクニックやナチュラルなスタイルを含む小さなん庭のデザインや植栽のガイド本です。紹介されている庭の多くはオランダの庭です。



②Landscape and Englishness(風景とイギリスらしさ) 著者 David Matless



イギリスらしさの中核をなすのがその風景で、過去から最近のEU離脱まで、歴史も含めて書かれているようです。



③Kniphofia: The Complete Guide(トリトマ:完全ガイド) 著者 Christopher Whitehouse



イギリスの王立園芸協会が初めて出版したトリトマに関するガイド本。70に及ぶ品種を写真とともに詳細に解説。



④Climbing and Rambler Roses(ツルバラとランブラー) 著者 David Austin



すばらしいツルバラの種類、育て方などを、イギリスを代表するバラの育種家が解説。1965年に出版されたGraham Stuart ThomasのClimbing Roses Old and Newの続編ともいうべき本で、その後の品種改良はこの著者が中心となって行われてきています。



⑤Raised Bed Revolution(レイズドベッドの革命) 著者 Tara Nolan



あらゆる手段を駆使して、レイズドベッド(板などで囲って土を入れた花壇)の多様性、可能性を紹介した本。屋根の上や斜面などにさまざまな素材を使ってつくる栽培スペースを紹介。



外国の本も、インターネットのおかげで容易に取り寄せが可能となってきています。ここで紹介した本のうち①、③、④、⑤は日本のアマゾンから取り寄せできます。多くは2~3千円程度です。




2016年10月20日木曜日

日本のモミジはイギリスでも大人気



まだ日中は暑い日もありますが、北海道からは雪の便りも聞かれ、着実に季節は進んでいるようです. ガーデナーズワールドの10月号にはイロハモミジ(Japanese maple)のお勧めの品種の紹介が載っています.

記事は次のような説明から始まっています・・・Acerはカエデ属で、巨木からミニチュアまで世界中で数千種類あり、古い公園や庭園に大きく広がったスズカケノキやアメリカやカナダ東部の高木のサトウカエデは堂々としてとても印象的ですが、ほとんどの庭には実用的ではありません. これとは対照的に、優雅な日本のカエデ(イロハモミジ)は秋の紅葉がとても美しく、しかも管理しやすく魅力的です・・・



紹介されている品種の名前をみると、下の写真の左上はshirakawanumという日本語が含まれ、右上の品種はSango-kakuという日本語名がついていて、何となく親しみがわきます. 5つの品種の樹高は3メートルから12メートルと幅があり、庭の広さなど用途により使い分けることになるのでしょう.






イギリスのガーデンセンターではたくさんのイロハモミジの苗木が売られています. 下の写真はイギリスのコッツウォルズにあるガーデンセンターを訪ねた時の写真です.





2016年10月16日日曜日

庭の落ち葉はどうすべきか?



落ち葉の季節になりました.  我が家の庭でもヤマザクラの葉がたくさん落ちてくるので、集めてコンポストビンに入れています. Gardeners’ World誌の今月号は、庭の落ち葉について異なる意見をもつ2人が、それぞれ意見を書いています.



まず最初のPippa Greenwoodさんはガーデナーズワールド誌に寄稿している病害虫の専門家です. 彼女は「落ち葉はナメクジやカタツムリなどの害虫の棲家になる」との見出しで、次のように述べています.

「私はもともとだらしない性格で、家も仕事場も車も散らかっています. でも、庭では直線をきらっているのですが、庭が散らかっているのは大嫌いで、落ち葉は最たるものです. 花壇の落ち葉を掃除するとすっきりしますし、掃除するのは意味があるんです. それは、ナメクジやカタツムリが気持ちよくその中で過ごしているからです.  そして黒星病などの病原菌も冬越ししてしまいます. 宿根草などの花壇では落ち葉は好ましくないところによく溜まってしまいがちで、放っておいてもうまくはいきません. ですから、手袋をはめて箒で掃除したほうが良いのです. そうすれば集めた落ち葉で腐葉土もつくれますし、病原菌が死滅すれば庭のどこにでもマルチングに使えて、実に完璧です!」

これに対して、Ken Thompsonさんは「落ち葉をそのままにしておけばあらゆる種類の野生生物たちの利益になる」、と題して次のように述べています。彼は園芸研究者で園芸ライターです。

「まず最初に明確にしておきたいのは、多くの研究で庭の土壌は栄養素に富むが有機質が乏しいとされていることです. そして木の葉は有機質の重要な供給源ですから、リサイクルされるべきです. 燃やしたり捨てたりするにはあまりにも貴重です. そして唯一の問題は、それを集めて堆肥や腐葉土にするか、あるいはそのままその場所においておくか、なのです. そして、それは落ち葉がどこにあるかによって答えも異なるでしょう. 園路やパティオ、芝生などでは掃除をしたくなるでしょうが、花壇では秋の落ち葉はそのままで良いと思うのです. わざわざ集めて堆肥などにしたあとに、また花壇に戻すのは時間の無駄です. 通常の堆肥の温度では病原菌は死滅しません. もし落ち葉をそのままにおいておくと、あらゆる種類のワイルドライフの利益になります. ハリネズミは落ち葉の中で冬ごもりできますし、ミミズのえさになりますから落ち葉がなければ虫も生きられません. 落ち葉の中にはいろんな虫たちが棲み、それらはカエルやトカゲ、鳥などのえさになるのです. ナメクジはどうなるの?というあなたの悲鳴も聞こえますが、ナメクジもワイルドライフでより大きな動物のえさになります. ワイルドライフを好きなものと嫌いなものに分けてもあまり役に立ちません. ナメクジのえさや棲家をなくせば、他の野生生物のえさや棲家もなくなるのです. それを受け入れられないと思うなら、あなたはワイルドライフを大切にするガーデナーをやめることは決してないでしょう. 」


なかなか、簡単に決着する問題ではなさそうです. 確かに場所によると思いますね. フォーマルガーデンではやはり落ち葉は綺麗に掃除したくなるでしょうし、コピスガーデンではむしろ落ち葉はそのままがいいでしょう. 花壇は・・・難しいですね.



2016年10月12日水曜日

今でも慕われる伝説のガーデナー



このブログの最初の頃にご紹介した伝説のガーデナー、ジェフ・ハミルトンは今でもイギリスでは多くの人から慕われ、彼の書籍や番組のビデオなどを参考にしているガーデナーがたくさんいます. 最新の雑誌に掲載された記事、そして彼の名著を紹介をしたいと思います.

昨日、ガーデナーズ・ワールドの10月号が届きました。表紙にはイギリスのテレビ園芸番組の人気司会者、モンティ・ドン氏が彼の愛犬Nigelと一緒に載っています. Nigelはテレビ番組にもよく一緒に登場しているゴールデンリトリバーの雌犬ですが、彼のこれまでの飼い犬の思い出、そしてしつけの仕方などをかいた記事が掲載されています.






読者の投稿欄にはジェフ・ハミルトン氏についての読者からの手紙が載っています(下).



コンウォールの女性からのお便り: 「ジェフ・ハミルトンさんが亡くなって20年も立ったとは思えません. ガーデナーズワールドというテレビ番組のことは聞いていて、ちょうど芝生の庭を花の庭に作り変えようと計画していたので、番組を見てみました. 私には理解できないかと思っていましたが、ジェフがするのをまねてやったら上手くできました。彼のアドバイスと、ガーデナーズワールド誌のおかげで、我が家の庭は素敵な場所になりました. ジェフはずっと私を指導してくれたのに、突然逝ってしまいました. 多くの他の人たちのように、彼のアドバイスがなくなって困っています. 彼ならこんな時はどうするだろうな、と考えたりしています. ジェフ、ありがとう、あなたはこれからもずっと私のヒーローです. 」


ウェストミッドランドの女性からのお便り: 「私は80歳になり、あまり動けなくなっていますが、夫を亡くしてからガーデニングは私の唯一の楽しみです. 私たち夫婦はジェフ・ハミルトンの小さな庭やDIYでお金をかけないアイデアを素晴らしいと思っていました. 私はジェフが作った岩をまだ覚えていますし、同じ方法で夫はバードバスを自作し、それはまだ役立っています. ジェフの追悼番組でアダム・フロストさんが思い出を語るのをとても楽しみましたが、番組の時間がもっと長かったらよかったと思います. 」





彼はテレビ番組の製作だけでなく、たくさんの著書を執筆しています。その中でも、彼のガーデニングに関するコンセプトが詰まっているのが’The Ornamental Kitchen Garden’でしょう。「美しい菜園」と題するこの書籍では、野菜を花やハーブと混植して農薬を使用しない有機栽培を可能にし、しかもとても装飾的な美しい庭づくりを提案しています。いろいろな庭の構造物などもお金をかけずに自分で作る方法も細かく解説しています。