コッツウォルズの亜麻畑

コッツウォルズの亜麻畑

2019年7月21日日曜日

野生生物のために重要な草原の危機


先週放送されたイギリスBBCの園芸番組「ガーデナーズワールド」は、ワイルドライフ(野生生物)の生息のために重要なメドウ(草原)についての特集でした。



総合司会のモンティードン(Monty Don)さんはヘレフォードシャー州の草原から現状をまず説明して今日の放送内容の紹介をします. また、途中で野の花の紹介もしています。
そして、新しいことを始めるのに遅すぎるということはなく、英国国内にある2300万の庭のそれぞれで少しでもワイルドライフの棲む環境を提供すれば状況は大きく変えられると力説します。


ランといえば熱帯のエキゾチックなイメージですが、ランの一種が草原にもあります
この野草はグラス類の必要とする栄養素を栄養とするので
グラス類が茂りすぎて他の野草が育てなくするのを防いでくれます


「第二次世界大戦後に野草の咲く草原の97%、950万エーカー(東京ドーム64万個分)が失われています。野草の咲く草原はただ美しだけではなく、400種を超える昆虫たちを支え、1エーカーあたりに300種もの花が咲きます。今回の特集では私たちの歴史や景観に関する文化、そして何より私たちガーデナーが手助けすることができることに関して、野草の野生生物への役割を見ていきたいと思います。」

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当番組プレゼンターのアダム フロスト(Adam Frost)さんは野草の咲く草原の重要さと役割を知るためにリンカーンシャー州のワイルドライフトラストのマーク スコフィールド(Mark Schofield)さんを訪ねました。

マークさんは「野生生物(昆虫)の役割でとくに注目されるのは受粉ですが、両生類や爬虫類、そして鳥類の餌として、エコシステムの食物連鎖での役割も大切です。いろんな鳥たちの数が減少してきています。」と話します。

アダムさんは「ここの草原が庭の花壇のひとつの目標ですね。」と言うと、マークさんは「そうです、雑草取りはもう必要ありません」とジョークで応えます。年に1回か2回、草刈りをするだけでよいのだそうです。

マークさんはまた「蝶たちの幼虫は葉を食べ、成虫は蜜を餌とするのです。野生の花は蜜や花粉を作り、そして私たち人間にの目にはとてもカラフルで笑顔を与えてくれます。」

アダムさんは「このような風景の中にいると、日ごろの喧騒を忘れますが、わずか3%まで減少した草原を私たちガーデナーが少しでも何かできれば、大きな変化につながるかもしれません。」と結びます。



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当番組プレゼンターのアリット アンダーソン(Arit Anderson)さんはイギリス南部のサセックス州にあるグレート・ディクスターを訪ねてヘッドガーデナーのファーガス ギャレットさんに会います。ここは2006年に亡くなったイギリスの高名なガーデンライターである、クリストファー・ロイド(Christopher Lloyd)氏のプライベート・ハウス&ガーデンです。

ファーガスさんは25年間ヘッドガーデナーを勤めていて庭のすべてを知り尽くしています。オーナメンタルな庭を維持することを考えてやってきて、野生動物に関心はあまりなかったのですが、関心を持ち始めると庭にはたくさんの動物がいて、調査した昆虫学者のアンディーフィリップさんがこの地方で1903年以来みられなかった蜘蛛の一種を学会専門誌に掲載したりして、庭の生物のバランスが重要だと認識したそうです。害虫をみつけたからすぐに殺虫剤を散布しなくても、それを捕食する天敵がいたりしてうまくやってくれるのです。庭のさまざまな環境が住処を与えているのです。
塀の石垣に咲くエリゲロンは花の時期が長く、花粉を昆虫にずっと供給します。芝に生えてくるタンポポなどの野草も密や花粉を提供します。
ここの庭では花の盛りの時期が終わった植物もしばらくそのままにして昆虫や鳥などの餌として残すように最近はしています。

エリゲロンの咲く石垣


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総合司会のモンティー ドンさんは野草の草原を守るキャンペーンを行っているプラントライフという団体の生物学専門員をしているトレバー ダインズ(Trevor Dines)さんを訪ねます。

トレバーすさんは、「食料の増産がすすんでいますが、それには授粉が必要になります。そのためには受粉をする昆虫が育つ場所が必要で、野の花の咲く草原を畑の間に作ることで可能になります。それは害虫の天敵を育てることにもなり、また美しい風景を私たちに提供してくれるのです。また、洪水を防止したり、空気中の二酸化炭素の固定にも役立ちます。」と説明してくれます。そして番組のあとのほうの皇太子の庭で紹介されるコロネーションメドウのプロジェクトで800ヘクタールもの広さの新しいメドウができてきていることを紹介します。
モンティーとトレバー


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当番組プレゼンターのニックベイリー(Nick Bailey)さんはトレンサムガーデン(Trentham Gardens)を訪ね、ガーデナーのキャロル アダムス(Carol Adams)さんにオーナメンタルメドウについて話を聞きます。

彼女は「6月から10月まで花を咲かせ続ける為に一年草のコーンフラワー、ポピーなどに多年草のデイジーの仲間のたくさんの種を一緒にまきます。カウパセリやファセリア、オレオプシスなども混ぜます。メドウミックスの種は花の構造が開かれていて蜜を吸いやすいものを集めています。」と説明します。

ニックが「一年草のメドウが素晴らしいが手入れはどうするのか」と聞くと、彼女は「とても簡単、最初に薄くコンポストを敷いて、種をまくだけ。あとは草取りも水やりも一切なし」と答えると、ニックは「うちのボーダー花壇では肥料やりや水やり、支柱立てを頻繁にやっているのに、本当にほったらかしでこんなに素晴らしく美しいなんて」と驚きます。

ニックとキャロル
コーンフラワー(青)カウパセリ(白)


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フランシストフィル(Frances Tophill)さんはガーデンデザイナーのジムとジョエルアシュトン(Jum and Joel Ashton)さん兄弟を訪ねます。彼らはバタフライブラザーズとして有名で、必ずワイルドライフを考慮して庭をデザインします。ハートフォード州にあるビショップスストートフォードにある半エーカーほどの庭はとても素晴らしいワイルドライフの天国になっています。子どもの頃から自然に親しんだ兄弟はガーデニングでもワイルドライフを取り込む設計を心がけ、ボーダーガーデンにも野草を取り入れたり、テラスの周囲を丸太や二重の木製フェンスにして植物や動物の居場所を作ったり、池を作って水生昆虫や両生類の住処としたりしています。ナチュラルな、そしてワイルドライフにやさしい庭です。メドウの周囲に芋虫が好む植物を植えることで蛾や蝶が育ち、しかも庭がひどく荒れたりしないように工夫しています。




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総合司会のモンティーさんはチャールズ皇太子のハイグローブにあるガーデンを訪ねます。チャールズ皇太子はワイルドフラワーメドウを30年前からはじめた先駆者です。始めるに当たっては、自然主義者で保護主義者のミリアム ロスチャイルド(Dame Miriam Rothschild)さんの協力を得ています。彼女は公園や高速道路の路肩に彼女が作ったミックス種を播いて野の花を広める活動をしていた人です。
11年前からハイグローブの庭のヘッドガーデナーをしているデブス グッドイナフ(Debs Goodenough)さんに話を聞きます。

デブスさんによれば、皇太子がここでメドウを再生することに取り組んだときにミリアムさんに提供してもらったミックス種は「農夫の悪夢」という名前で基本的には一年草の種を混ぜたものでしたが、これに皇太子は多年草の種も混ぜてまいたそうです。そしてポピーなどの花が咲いて最初の色彩がもたらされました。一般の人たちの裏庭で始めるには、最初は1平米ぐらいのスペースに一年草のミックス種を蒔いて育てることを勧めます。種は秋のできれば9月ごろに蒔いて、草刈りを3月ごろまでやり、その後は雑草を引き抜いてやります。最初に狭いスペースで始めるのはこのような作業があるためで、花のあとは種を採って、次の年には倍のスペースで始める、といった感じで広げていくとよいとのこと。養分の少ない土壌のところが向いているとも。
皇太子殿下はエリザベス女王の戴冠60周年を記念して、激減しているイギリス国内の野の花の草原を再生させる取り組みを始め、すべての州に少なくとも一つ以上の草原を新しく作ることを提唱して、それをコロネーションメドウ(戴冠草原)と名づけました。このプロジェクトにより現在までに全国で88箇所に新たなメドウがつくられました。

ハイグローブの庭が公開されるようになって26年たち、ここを訪れたたくさんの人々がワイルドフラワーメドウを見ることで、自分たちの庭に持ち帰って何らかの取り組みをすることでしょう、とモンティーさんは締めくくります。

デブスさんとモンティーさん
ミリアム ロスチャイルド(Dame Miriam Rothschild)さん

ハイグローブの庭の部分はここをクリックすると見られます
https://www.bbc.co.uk/programmes/p07h3hqp


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そしてさらにモンティーさんは、コロネーションメドウの一つを作ったリンカーンシャー州にすむハリーターナー(Harry Turner)さんを訪ねます。

ハリーさんは87歳で、この20年野草の種から苗を育てて種を蒔いてコロネーションメドウつくりをしてきました。番組では黄色い花のカウスリップが紹介されています。


ハリーさんのメドウの部分はここをクリックすると見られます
https://www.bbc.co.uk/programmes/p07h3hm8


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当番組プレゼンターのキャロル クライン(Carol Klein)さんは、野の花の近縁種の植物を基本にしたボーダー花壇を彼女自身の庭でつくっています

キャロルさんは「私の庭にはたくさんの花が咲いていて、地元の植物に加えてたくさんのブリテン島以外から来た植物もあります。授粉にかかわる昆虫たちにとってはたくさんの花がある庭はオアシスです。そしてシーズンを通じて蜜や花粉を提供できるようにしています。」
そして新しいボーダー花壇に植える植物を紹介してくれています。そして
「私たちは昆虫に蜜や花粉を提供し、彼らは美しい花に戯れる姿を披露してくれます」と締めくくります。



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モンティーさんの今週末の庭仕事のコーナーでは

〇庭をあまりきれいに片付けない

花の終わった球根植物の葉は枯れてきてもしばらくそのままにしておく、庭の周辺の草刈は避ける、などでワイルドライフの住処を確保してあげてください


〇虫の住処を作る

古い竹を切って束ねればハナバチの巣になります


〇ワイルドライフを楽しむ

庭に腰掛けてリラックスして楽しみましょう


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今回のワイルドライフ特集はとても内容に富むすばらしいプログラムでした。

効率を求めて耕せるところはすべて田畑にして合成肥料や農薬を使ってきたこれまでのヒトの営みが、自然界のバランスを崩して多くの野生動物を絶滅に追い込み、授粉を受け持ってくれていた蜜蜂を始めとするハナバチなどを激減させ、一部の薬に耐性のあるような害虫を増やすなどして、農作物の栽培に支障をきたしている現状を見ると、イギリスでの草原を増やすプロジェクトが大きな意味をもっていると感じました。



番組をみて我が家でも虫たちのお家をつくってみました。



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2019年5月25日土曜日

続 イギリスの一般家庭の今どきの庭造り 野の花ガーデン


以前紹介したケイティ・トッドさんの庭づくりのその後ですが、

リンゴやプラムなどの木々を植えて、次はその木のまわりをどのようなデザインにするかが課題となりました。
引っ越した家は新しい住宅地で、住宅地ができることで失われた自然を再現することが庭のミッションだと考え、野の花の種があらかじめ混ぜてある芝生ロールを敷きつめることにしたそうです。
ワイルドフラワーガーデンは2012年のロンドンオリンピックでオリンピックパーク内に草原が出現して話題になった庭のデザインの一種で、ケイティさんはオックスフォード大学内のボタニカルガーデンや個人のお庭などを見学して準備されたそうです。
リンゴなどの木々を植えて庭に鳥が訪れるようになり、芝生ロールを敷いたらさっそく小さな虫たちもブンブンと飛んできているとのこと。





自然を破壊して住宅地を広げてワイルドライフの住処をなくしてきたのは日本でも同じですが、少しでも野生の動物がすめる庭をつくることはとても意味があるような気がしました。