ガーデニングに関するあるテーマに対して二人のガーデナーがそれぞれ異なる意見を紹介するガーデナーズワールド誌の「オーバー・ザ・フェンス」の今月のテーマは庭のツタです。
・ツタにどちらかと言えば否定的な意見を述べるのはトビー・ビースリーさん
(ビクトリア女王夫妻の別荘オズボーンハウスの主任ガーデナー)、
・ツタの良いところを述べるのはクリス・ベインズさん
(環境主義者でワイルドライフガーデニングの著者)
トビー・ビースリーさんは、
「家の壁にツタを這わせるのは魅力的でしょうし、痛みのない石造り建築には害はないともされています。でも痛みがある場合は問題を起こしうるのです。成長旺盛な根が弱い部分に入り込むと、モルタルを押し出してしまいます。溝や竪樋、屋根のタイルなどからツタを取り除く果てしない戦いが続きます。ペンキを塗った壁も容易に根が張り付いてペンキが剥げてしまいます。
木に這わせるのも、強風が吹くときに空気抵抗を増して、木が折れたりする危険が増します。コニファーに這わせると、見かけも悪くなり、陰になる枝からは新芽がでなくなります。
ツタの茂った葉はいろんなものを隠してしまいます。美しいオークの樹皮を腐らせる真菌、害虫としてのカタツムリなどです。庭の木製のフェンスもツタが茂って湿気のために腐り、やり直すのも大変でした。
ツタには用途はありますが、美しく保つのには大変な労力も要し、大変です。それでも庭にツタは欲しいですか?」
これに対して、クリス・ベインズさんは、
「秋の終わり、晴れた午後に庭ではツタの音が聞こえます。宝石のようなツタの花は蜜をたたえ、ミツバチやジガハチ、ハナアブ、その他の受粉をしてくれる昆虫たちを周辺から呼び集めます。ツタはその羽音で活気づきます。
冬を越す準備をするチョウたちの貴重なエネルギー源でもあります。そして昆虫たちの繁殖の場所にもなります。実が熟すと鳥たちの冬の貴重な食べものにもなります。
丈夫な常緑のため、一年中にわたってとても効果的なシェルター(隠れ家)を提供し、ここに巣をつくる鳥もコマドリなどたくさんいます。イングリッシュアイビーに覆われたフェンスや壁は庭につくることのできる野生動物たちのための仕掛けなのです。」
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ツタ(アイビー)類はうちの庭でもいろんな場所に植えて使っていますが、確かに茂りすぎて困ることもあります。舌の写真はレンガで作ったレイズドベッドの側面の覆うツタですが、どんどん花壇の中まで成長するので、いつも剪定が必要です。折角のレンガもまったく見えなくなってしまっています。
それでも、やはりツタは一年中緑で覆ってくれて、自然に溶け込む雰囲気を作ってくれるので、ありがたいと思います。
先週末に放送されたテレビ番組「ガーデナーズ・ワールド」の第3回で大変興味深かったのは、地衣類についての話でした。そして、この半世紀でもっともイギリスのガーデンにインパクトを与えた植物としてレイチェル・デ・テムが選んだのはオダマキでした。
古い石の上の地衣類 |
オダマキ |